鈴木謙介・芹沢一也・セミナー参加者
「後期近代における不安とセキュリティ 前編」
後期近代(レイト・モダニティー)」と「脱・近代(ポスト・モダニティー)」の関係を整理しつつ、不安とセキュリティの現在について語る鈴木謙介さんのセミナーレポートです。「最近よく“再帰性”って聞くけど、いまいち意味わからないんだよね」という人にも親切な内容となっております。(構成:chiki)
レイトモダニティとポストモダニティ
鈴木謙介です。よろしくお願いします。紙のレジュメを配ってしゃべるのは、なかなか久しぶりです(笑)。
もともと私は社会学者ということになっておりまして、その社会学の中でも割と理論的な研究をしています。例えば若者の心理がどうなっているかとか、インターネットの現状がどうなっているかとか、あるいはサブカルチャーがどうなっているのか、みたいなことをしゃべらせてもらっています。それらの話の中でも重要な理論枠組みの中に、「後期近代(レイトモダニティ)」「再帰性(リフレキシビティ)」という概念があります。まずはこの概念を教科書的にまとめた上で、じゃあその「後期近代」というのはどういう時代なのかということを、「不安」というキーワードで説明し、そこからセキュリティという今日のテーマに繋げていこうと思っています。
ところで、「近代」っていう概念は、学問全体で言うとその定義が曖昧なところがあります。時代概念としての近代は、1648年のウェストファリア条約あたりをメルクマールにしますが、そもそも社会学は「近代」を時代概念として捉えていません。「近代性(モダニティ)」というモデル概念だと考えているんですね。というのも、近代化は世界で同時に起きた現象ではないからです。あるモデルが当てはまる社会のことを「近代社会」と呼びましょう、と、こういうお約束ごととして考える。その場合のモデルとは何かを一般的に言うと、個人の自意識の存在、つまり自律した個人を前提にするということです。これは基本的人権の基礎となる発想です。次に民主主義、それから資本主義。大体この三つがそろって発達した社会のことを「近代」と呼ぶわけです。
そのモダニティという概念を巡っては、例えば「後期近代(レイトモダニティ)」と「脱近代(ポストモダン)」という言葉があります。まあどっちも一緒じゃね? って感じがするんですが、ちょっとこの二つの言葉の違いから説明をしましょう。「後期近代」は「レイトモダニティ」ですから、モダニティの後期なわけです。つまりレイトモダニティという概念は、モダニティの内のひとつの特徴的なモデルだっていう風に言える。一方で「脱近代」っていうのは、モダンの「次の段階」なので、時間概念的な言い方をする概念になります。
じゃあレイトモダニティっていうのがあるのは分かったけど、それはポストモダニティじゃダメなの? みたいな話が出てくると思います......(つづく)
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