セミナー#21 広田照幸(聞き手:芹沢一也 司会:荻上チキ)「教育改革をめぐる政治的構図を読み解く」
日時 2008年6月29日(日) 15時~17時
講師 広田照幸(聞き手:芹沢一也 司会:荻上チキ)
タイトル 「教育改革をめぐる政治的構図を読み解く」
セミナー概要
教育改革をめぐる対立軸の変容の問題を考えたい。米ソ冷戦体制を反映した1970年代までの対立軸では、もはや読み解けないような事態が生じている。たとえば、旧来の対立図式から見ると「ねじれ」にしかみえない事態や、旧来の対立図式から見ると同じ陣営にあるはずの諸アクターが争っている、といった事態である。ここでは、1980年代以降の教育改革をめぐる政治的構図の変容を整理することで、近年の教育改革論議が置かれていた社会的・政治的文脈を明らかにし、今後の教育政治をめぐる構図について、見通しを立てていきたい。ひと言つけ加えると、教育問題を語る枠組みを、そうした視点から組み立て直すことが必要だと、私は思っている。というのも、教育制度や教育政策レベルでの改革は、実は広範な影響を教育の日常レベルに及ぼすことになるからである。教育制度や教育政策レベルでの改革論がわかりにくいため、教育について何か考えたい人たちの関心は、つい青少年非行とかいじめとか、教師論など、単純でわかりやすい事象に向かってしまいがちである。それらはシロウトでもいじれるネタなのだ。しかし、そのことが、議論の磁場を歪めてしまっている。教育政治リテラシーを身につけた市民が、「教育をよくする」ために教育制度や政策をめぐる議論をできるようになれば、もう少しましな教育になるだろうと思っている。
広田照幸(ひろた・てるゆき) 1959年、広島県比婆郡生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得の上退学。南山大学文学部講師・助教授、東京大学大学院教育学研究科助教授・教授を経て、2006年10月から日本大学文理学部教授。専門は教育社会学。著書に、『陸軍将校の教育社会史――立身出世と天皇制――』(世織書房、第19回サントリー学芸賞受賞)、『日本人のしつけは衰退したか――「教育する家族」のゆくえ』(講談社)、『教育言説の歴史社会学』(名古屋大学出版会)、『教育には何ができないか』(春秋社)、『思考のフロンティア 教育』(岩波書店)、『教育不信と教育依存の時代』(紀伊國屋書店)、『《愛国心》のゆくえ――教育基本法改正という問題――』(世織書房)他がある。