« 2007年12月 | main | 2008年02月 »

2008年01月 ARCHIVES

2008年01月06日

セミナー#12 荻上チキ×芹沢一也「ウェブ以後のモダン」

日時 2008年2月10日(日) 14時~16時

講師 荻上チキ×芹沢一也

タイトル「ウェブ以後のモダン」

セミナー概要
ウェブ以後のコミュニケーションは、その利便性の裏側に新しい「リスク」を抱えることとなった。ビジネスの領域においては、既にそのリスクとチャンスの二面性について多くの議論が行われている。しかし文化・教育・政治の領域においては、未だ流言飛語に等しい水準の議論が横行しがちだ。メディア史を振り返ると、このようにビジネス領域の議論が先立ち、独特の文化や様式が作られ、教育・政治領域における議論がそれに言説上での苦言を呈しながらスローモーに対応をしていくという現象は不可避的であるともいえる。一方でウェブ以後のコミュニケーションにおいては、これまでのメディア史とは決定的に異なる、ラディカルな変化を私たちの社会に要求しているかのようにも語られる。それは私たちがこの数百年のうちに積み重ねてきた「近代」というパラダイムの枠組みに対して、<反省>的な検証を突きつけるものであるようだ。セミナーでは、メディア<批判>史を振り返りつつ、「近代」およびインターネットを取り巻く言説をめぐり、「後期近代社会」「ポストモダニズム」の強い影響を受けてきた「テクスト論」と「メディア論」という二つのツールを用いながら議論を深めたい。また、「炎上」「学校裏サイト」「プロフサイト」「情報漏洩」「出会い系サイト」など、出来る限り具体的・時事的なケースを元に議論を行うことで、歴史的な議論と現代の社会問題とを紐付けると共に、ウェブ社会を生きるうえで実践的な技法を共有することにも努めたい。

荻上チキ(おぎうえ・ちき) 1981年、兵庫県生まれ。東京大学情報学環修士課程修了。専門はテクスト論、メディア論。著書に、『ウェブ炎上』(ちくま新書)、共著に『バックラッシュ!』(双風舎)がある。人文社会科学系を中心にネットで話題のニュースやトピックを紹介するウェブサイト「トラカレ!」、「荻上式blog」主宰。

満員御礼 受付は終了しました

2008年01月13日

セミナー#13 すが秀実×芹沢一也「或る覇権的知識人と新左翼の歴史――吉本隆明を例にして」

日時 2008年2月24日(日) 14時~16時

講師 すが秀実×芹沢一也

「或る覇権的知識人と新左翼の歴史――吉本隆明を例にして」

セミナー概要
「知識人の終焉」が宣告される一方で、「知識人」という呼称は、いまなお頻繁に流布している。言うまでもなく、「知識人の終焉」を宣告したのは、「新左翼」のムーヴメントとしてあった世界的な「1968年の革命」であり、それ以後、「知識人」は以前とは異なったありかたを問われているはずである。しかし、それがどのように可能かについては、いまだ明確な解答は出ていない。本セミナーでは、古典的な知識人の理念型としてあったサルトルの日本的な定在と見なしうる吉本隆明を例にとる。新左翼の歴史に沿いながらその足跡を追うことで、今日の知識人問題にもひとつの照明を与えたい。

言うまでもなく、日本の新左翼は60年安保闘争を以って大衆的に登場した。吉本隆明は、それに実践的にも理論的にも積極的にコミットすることで知識人界のヘゲモニーを掌握していく。本セミナーでは、まず、吉本が知識人としてのヘゲモニーを確立していくことになる50年代後半からの花田清輝との論争の再検討をつうじて、そのヘゲモニー確立が新左翼にとっていかに必要な作業であったかを見る。それは、内容的には決して勝利ではないにもかかわらず、「勝利」として現象しなければならないものだった。続いて、60年安保闘争の総括をめぐって、吉本は丸山眞男、黒田寛一、武井昭夫との論争に次々に勝利していくが、これは、実は60年安保で解体したブント(共産主義者同盟)の再建問題と、実は深く関わっていたのである。しかし、ブントは再建に失敗した。吉本は「自立の思想」を掲げて理論活動に専念していくと見なされているが、そう簡単に言えないところが多い。新左翼学生への影響力を喪失しては、知識人としての存在が危機に瀕するからである。このようななか、「68年」が勃発するが、そこで吉本は、日本のさまざまな「68年の思想」(廣松渉から津村喬まで)との対決を迫られる。これを、吉本はどう乗り切ったか。これまた、吉本の勝利とは言えないにもかかわらず「勝利」として現象するのである。「68年」においては、学生には吉本が良く読まれたというのは、後世に作られた神話だが、そのような神話が流布することによって、日本における知識人概念が誕生した。しかしそれは、知識人概念の空洞化を代償としたものでもあった。

すが秀実(すが・ひでみ) 1949年新潟県生まれ。文芸評論家・近畿大学国際人文科学研究所教授。著書に、『革命的な、あまりに革命的な』(作品社)、『「帝国」の文学』、『「超」言葉狩り宣言』、『昭和の劇』、『必読書150』『それでも作家になりたい人のためのブックガイド』などがある。