セミナー#05 阿部真大×芹沢一也「働きすぎる若者たち」

日時 2007年8月4日(土) 14時~17時
講師 阿部真大×芹沢一也
タイトル 「働きすぎる若者たち」
苛酷な労働環境のなかにあって、若者たちはなぜワーカホリックになっていくのか。今回のセミナーは社会学者の阿部真大氏をお招きする。阿部氏は好きなことを仕事にする「元気な男の子たち」のバイク便ライダーと、「優しい女の子たち」のケアワーカーの職場に参与観察することで、彼ら、彼女たちがワーカホリックになるさまざまな仕掛けを明らかにした。それではそうした仕掛けから逃れる術はどこにあるのか?現在、社会学が与えることのできる処方箋を示したい。
セミナー概要
専門性を確立することで無制限な労働に歯止めをかける。明確なジョブディスクリプションを作成し、細かな職階を決める。これを「キャリアラダー(キャリア階段)」と呼ぶとすると、現在、不安定就業者たちの世界で求められているのは、ワーカホリックを防ぐための早急なキャリアラダーの構築である。注意しなくてはならないのは、キャリアラダーの議論は、しばしば、ネオリベラリズム的な言説(「自発的な社会参加」への動員)と共振してしまうのではないかとの疑義が差し挟まれることもあるが、実際のところ、この発想はそういったものとは無縁であるということだ。キャリアラダーにおける「ラダー」のイメージをあまり大したものと考えてはいけない。時給800円から出発して最後は年収500万円の正社員、などというようなラダーではなく、せいぜい時給800円から時給1500円の間のラダーである。それは、労働者の短期的なモティベーションを喚起するというよりは安定性を確保するという目的をもっている。セミナーでは不安定就業者のワーカホリックを防ぎ、未来の予測可能性を確保するためのキャリアラダーの構築に関する研究を紹介し、ワーカホリックの問題を社会学的なアプローチから解きほぐしていく。
阿部真大(あべ・まさひろ) 1976年岐阜県岐阜市生まれ。東京大学大学院博士課程を経て現在、学習院大学非常勤講師(社会統計学)。2006年に自らのバイク便ライダー体験をもとに執筆した『搾取される若者たち』(集英社新書)でデビュー。2007年にはケアワーカーの労働実態をまとめた『働きすぎる若者たち』(NHK生活人新書)を刊行。現在調査中の配管工の世界を描いた『管の都市』(仮題)と併せて「労働3部作」を予定している。他に、「合コンの社会学」(北村文との共著)を「本が好き!」(光文社)で連載中。