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2007年06月 ARCHIVES

2007年06月01日

セミナー#04 萱野稔人×芹沢一也「フーコー権力論と現代社会」

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日時 2007年7月7日(土) 14時~17時

講師 萱野稔人×芹沢一也

タイトル 「フーコー権力論と現代社会」

かつてフーコーはニーチェについてこう述べた。「私なら自分で気に入った人間だったら、それを利用しますね。ニーチェの打ち出したような思想に敬意を表する唯一のやり方は、それを利用し、それをねじ曲げてキーキーいわせることですよ。」今回のセミナーは国家や権力をめぐる「原理的」な考察によって、いまもっとも注目を集めている政治哲学者、萱野稔人氏をお招きする。新しく読み解かれるフーコー権力論は、それを利用し「キーキーいわせる」ための不可欠な作業となるはずである。

セミナー概要
フーコーの権力論は、人文・社会系アカデミズムの世界ではすでにおなじみのものとなっている。いまでは「フーコー以降」ということすら言われるほどだ。しかし、フーコーの権力論は本当に過去のものとなりつつあるのだろうか。そもそも「フーコー以降」ということが展望されるほど、フーコーの権力論はまともに理解されているのだろうか。たとえばフーコーが『監獄の誕生』で提示した規律権力の概念は、ほとんどの場合、従順でかつ生産的な身体をつくるための実践としてしか理解されていない。しかし『監獄の誕生』でフーコーが示そうとしたのは、規律権力の徹底的な装置であるはずの監獄が、じつはそのようなものとしては機能していない、ということだった。ではこのとき、規律権力はどのようなものとして理解されるべきだろうか。ドゥルーズはフーコーの仕事に触れながら、現代社会における権力の主要なモードが規律から管理へと移行しつつあると述べている。もし規律権力がたんに従順で生産的な身体をつくる実践としてのみ理解されるものではないのなら、規律社会から管理社会への移行もまた、よりひろい枠組みのもとでとらえなおされなくてはならないだろう。フーコー権力論を読みながら、現代社会をとらえるための理論的な切り口をあらためて探っていくことが、このセミナーの目的である。

萱野稔人(かやの・としひと)  1970年生まれ。パリ第十大学大学院哲学科博士課程修了。哲学博士。現在、津田塾大学国際関係学科准教授。哲学・思想の研究を土台に、国家論、権力論、現代社会論を展開する。著書に『国家とはなにか』(以文社、2005年)、『カネと暴力の系譜学』(河出書房新社、2006年)、『権力の読みかた』(青土社、2007年)など。

2007年06月09日

セミナー#03終了 本田由紀「〈若者〉をめぐる現在」

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参加者からの感想です。Synodosは一方向的ではない、参加者の方たちとの交流の場でありたいと願っています。

「講演会や学校での講義とはまったく違う体験。百戦錬磨の先生も、この近距離で初対面の人を相手にするにはそれなりの気構えを要するのか、いい意味での緊張感がびりびり伝わってきた。真剣に向き合い、言葉を交わすうちに3時間はあっという間に過ぎた。本田先生のマシンガントークは、うわさに聞いた通りだったが、あれだけの情報量にもかかわらず頭にすーっと入ったのは不思議だ。」
「“講演会”という言葉でイメージされる一方通行の場とは明らかに違う濃密な場でした。先生が意図的に話している言葉のすき間から、意図せずに滲み出す本音の数々、非常に知的にスリリングです。こんな特別な場にいると、自分まで特別になれるような気がして、知らず知らず興奮してしまいました。」
「土曜日、実に楽しかったです。講座では、アットホームな雰囲気と適度の緊張感のなかで、思わず議論に巻き込まれてしまいました。「はじめて」の参加なのに、そんな感じを超えて、気がついたら親しくなってしまう「不思議な力」が、きっとあるのでしょう。」
「講師と参加者の距離が近いので、障壁を感じることなく自然に質問できる雰囲気に充ち満ちていました。老若男女異なる立場・異なる分野からの視点は、今回の〈若者〉をめぐるテーマを語る上でも最適で、重層的・多角的な深みの生まれる非常に貴重な時間となりました。本田先生にもたくさんお話しいただいて感激しています。」

2007年06月20日

レクチャー#01 雨宮処凛×本田由紀(ゲスト)×芹沢一也(司会)「なぜ、生きることがこんなにも大変なのか」

雨宮処凛 講演会(ゲスト:本田由紀 司会:芹沢一也)

日時 2007年7月29日(日) 14時30分~16時30分(14時開場)

タイトル 「なぜ、生きることがこんなにも大変なのか」

レクチャー概要
 いまだに非正規雇用の若者に対して「だらしない」「甘えている」などという「誤解」がまかり通っている。いまや働く人の三人に一人がフリーターを代表とする非正規雇用。24歳以下では二人に一人。これは若者がだらしないからでも甘えているからでもなんでもない。企業はこの「失われた10年」に、非正規雇用のうまみを知ってしまったからだ。金のかかる正社員など雇いたくないからだ。好きな時に使い、いらなくなったら廃棄し、人件費を安く抑え、利潤を追求したいからだ。国際競争に勝つためなら、そこで働く若者の未来が奪われようと食えない賃金であろうと不安定な生き方が原因で心を病もうとホームレスになろうと餓死しようと、そんなことはどうでもいいからだ。日本を代表するような大企業が軒並み「偽装請負」などの違法行為に手を染め、若者の生活をメチャクチャに破壊していることを見てもそれは明らかではないか。
 10年以上働いても一円の時給も上がらないフリーターが量産され、その一部は既にホームレス化している。深夜のマクドナルドに行ってみるといい。日雇いの仕事で疲れ果てた若者たちが、テーブルに突っ伏して仮眠をとっている。低賃金で何の社会保障もない彼らはいつだって失業を前提とした生活を余儀なくされ、貯金もないのですぐに住む場所を失ってしまう。親に頼れればいいが、親が死んでいたり、貧乏だったりする若者から、ホームレス化が始まっている。これのどこが自己責任なのか?こういった問題の背景にある経済のグローバル化、ネオリベラリズム、そして不安定な日々を生きる若者の状況について、話したいと思っている。そしてそこから始まっている数々の「反撃」も。

雨宮処凛(あまみや・かりん) 1975年北海道生まれ。ゴスロリ作家。元パンク歌手&元政治活動家。自己経験を元に描いた『生き地獄天国』(太田出版)をはじめ『自殺のコスト』(太田出版)、『暴力恋愛』(講談社)、『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)など著作多数。ドキュメント映画『新しい神様』(監督・土屋豊)に出演。活動の幅を広げている。
オフィシャルWebサイト:雨宮処凛 公式ホームページ

本田由紀(ほんだ・ゆき)  1964年徳島県生まれ。東京大学大学院教育学研究科准教授。若年労働市場や教育意識に関する実証研究を専門とし、「ニート」「人間力」「家庭教育」などの概念に批判的検討を加えている。著書に『若者の労働と生活世界』(編著、大月書店、2007年5月)、『「ニート」って言うな!』(光文社、2006年)、『多元化する「能力」と日本社会 ―ハイパー・メリトクラシー化のなかで』(NTT出版、2005年、大佛次郎論壇賞奨励賞受賞)などがある。

2007年06月21日

レクチャー#02 鈴木謙介×芹沢一也(司会)「サイバー・アナーキズムの時代」

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鈴木謙介 講演会(司会:芹沢一也)

日時 2007年8月18日(土) 14時30分~16時30分(14時開場)

タイトル 「サイバー・アナーキズムの時代」

レクチャー概要
 比較的若い世代による、社会と大人への「異議申し立て」が注目を集めている。ある者は「大人」の「若者」に対するバッシングを糾弾し、別の者は、自らが得ることのできなかった可能性を、「戦争待望論」をちらつかせながら、「既得権」を持つ人びとに対して要求する。「こんな国はもう滅ぼすしかない」と叫ぶ声が、ネタ半分とはいえ喝采を浴びる一方、制度を脱臼させるような社会運動、カーニヴァル的な抗議運動も、じわじわと広がりを見せている。こうした動きを、どのように理解するべきか。重要なのは、これらの異議申し立てが、硬直した社会支配の有り様に対して向けられたものであり、その点で、これまでの日本の文脈における「右翼/左翼」の図式を逸脱した、ある種の「アナーキズム」へと向かう特徴を有しているということだ。
 私見に従えば、こうしたアナーキーな志向性は、運動の当事者の意図を超えて、より流動性の高い社会における、よりネオリベラルな制度をさえ要求しかねない。そしてそれは、インターネットの普及に伴ってバージョンアップした、「サイバー・アナーキズム」とでも呼ぶべき、大きな流れの中に位置づけられるものなのではないか、と私は考えている。今回の講演では、こうした流れについて、現代の事象と社会思想を架橋させながら、今何が求められているのか、そしてそれが向かう意図せざる帰結について論じていく。そのことが、近視眼的で「すぐ結果が出そうな」運動への指向と、抽象的な「社会への語り」とのあいだに挟まれた私たちが、これから何をすべきなのかについて、考え、行動するための一助となれば幸いである。

鈴木謙介(すずき・けんすけ) 1976年生まれ。国際大学GLOCOM研究員。専門は理論社会学。インターネットの社会学的分析を主なフィールドにしながら、現代における社会思想の意義について論じている。著書に『カーニヴァル化する社会』(講談社)、『〈反転〉するグローバリゼーション』(NTT出版)、『ウェブ社会の思想―〈遍在する私〉をどう生きるか』(日本放送出版協会)ほか。「文化系トークラジオLife」(TBSラジオ)のメインパーソナリティをつとめている。